モンテッソーリ教育・敏感期について②
9月のコラムの続編で、今月は敏感期の内容についてお伝えいたします。
■敏感期とは
生きるために必要な能力を獲得するのに最適な、一生に一度しか現れない特別な時期のこと。
② 世界中の子どもにも、だいたい同じような時期に現れる。
②この時期は敏感になっていることから、苦労なく身につけられる。
敏感期を過ぎてから身につけようとすると、かなりの努力が必要になる。
➂ある一定期間を過ぎると、自然に消えてしまい、二度と現れない。
秩序の敏感期(0~3歳頃) 場所、順序、所有物など目に見えるものから習慣、約束など目に見えないものまで、秩序を敏感に捉えて「いつもと同じ」を守ろうとします。同じことが同じように行われることで、次を予測し、自分のなかに準備を整える道筋をつくりあげています。自立に向け自分と周囲の世界との関係を築きあげ、自分の位置を確認しています。 「いつもと同じ道がいい」「いつもの順序がいい」「いつもと同じ場所がいい」などが叶わないと、「戸惑う」「抵抗する」「嫌がる」「泣き叫ぶ」など、強情な姿を見せます。ですが、わがままではありません。秩序が狂うと子どもは混乱し、不安定になり泣いたり怒ったりします。 ➡できる限り「いつもと同じ」を心がけてください。急いでいると子どもの段取りを待てないこともあるので、せかさなくて済むように、時間に余裕をもって動くこともお勧めします。 |
■敏感期の種類
運動の敏感期(3~6歳頃) 3歳頃までは基本の動きを身につける敏感期です。手や指腕を使った動きを何度も何度も繰り返します。 3歳頃からは自分の意志で動かす筋肉の調整期に入ります。①体全体を使う②平衡感覚を養うバランスを保つ➂道具を使う④指先を洗練させるなど、さまざまな動きに挑戦したがります。運動の敏感期にたくさん経験を積むと「よく動く体」「器用な手」「がんばりぬく力」などを手に入れられます。 ティッシュをたくさん出す、バランスを取って縁を歩く、折る、切る、貼る、縫う、など ➡危ない、まだ無理などと禁止せずに、子どもが自分でできる方法や道具を揃えてあげてください。 自分の思うように動けることは、自分で考え判断する主体性を身につけることにつながります。 |
感覚の敏感期(3~6歳頃) 五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)の感受性が敏感になる時期です。この時期に五感をたくさん使って感覚を洗練することは、優れた感性をもち創造的な人になるために、とても重要です。 ・ツルツル、ザラザラ、ぷにょぷにょなどの感触が好き。壁に触りながら歩く、など(触覚) ・自分の枕、タオルなどを持っていると安心、など(嗅覚) ・飛行機の音に誰よりも先に気づく、など(聴覚) ➡子どもが心ゆくまで感じるのを見守りましょう。子どもの感動や発見に共感することも大切です。
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*その他「これなに?」「なぜ?」が止まらない「言語の敏感期」、「文字の敏感期」、「数の敏感期」、
世の中のことに興味が出てくる「文化の敏感期」など、さまざまな敏感期があります。
大人が敏感期について知り、サポートすることで、子どもは人生を生き抜く力を身につけます。
私達保育者も「子どもが興味をもっていることを大切に」という意識でかかわっていきます。(飯塚)
【参考文献】
※原作:相良敦子 マンガ:あべようこ『マンガ ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』河出書房新社 2018
※池田政純・則子 『ひとりで、できた!』サンマーク出版 2006