モンテッソーリ教育・敏感期について①
先日モンテッソーリ教育を学んでいる方とお話する機会がありました。お話を伺い、これは保護者の皆様にもぜひお伝えしたいと思いましたので、今回書かせていただきます。その方はモンテッソーリ教育を学んで変わったことについて、以下のようなお話をされていました。
「子どもの行動には意味があるということを聞いて、これはいたずらではないんだ、という目で子どもの行動を見るようになりました。それまでは何でそんなことするの!と止めさせることばかり考えていましたが、意味のあることだと思って見ると、この子にとっては面白いことなのだなと理解できるようになりました。今はなんであんなにイライラしていたのだろうって思います。」とおっしゃっていました。
このお話の中に出てきた意味がある行動とは「敏感期」のことです。「敏感期」のことを理解すると、子どものことがもっとわかってきます。モンテッソーリ教育ではこの「敏感期」をとても重要な時期だと考えています。では「敏感期」とはいったい何でしょうか。
■敏感期とは
敏感期という言葉は生物学者のド・フリースが使い出した言葉です。モンテッソーリは生物学で発見されたことを人間の中にも見いだし教育に利用しました。ここでは毛虫の事例でご説明します。
蝶は卵を産むとき、雨や風にいちばん安全な、幹が枝に分かれるまたの所を選びます。卵から
かえった毛虫は、自分の周囲にある大きい木の葉は堅くて食べることができません。生まれたての毛虫が食べることのできる葉は、枝の一番先にあるやわらかい新芽だけなのです。ではその時期の毛虫がどうやって枝の先端にある自分が食べることのできる新芽を見つけるのでしょうか。
それはちょうどそのタイミングに、光に対して非常に敏感になるからです。※1
敏感期があるのは毛虫だけではありません。
人間の子どもにも、ある一定期間だけ、何か特定のものに非常に敏感になる時期が見られます。
■敏感期の特徴
①世界中の子どもにも、だいたい同じような時期に現れる。
②この時期は、敏感になっていることがらを苦労なく身につけられる。敏感期を過ぎてから身に
つけようとすると、かなりの努力が必要になる。
➂ある一定期間を過ぎると、自然に消えてしまい、二度と現れない。
つまり、「敏感期」は、生きるために必要な能力を獲得するのに最適な、一生に一度しか現れ
ない特別な時期なのです。(※2)
■敏感期の種類
・秩序の敏感期 ・運動の敏感期 ・感覚の敏感期
・言語の敏感期 ・数の敏感期 ・文化の敏感期 などなど
*敏感期の具体的な内容については、次回詳しくご説明いたします。→10月号に続く (飯塚)
【引用】
※1相良敦子『ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』講談社 1985
※2原作:相良敦子 マンガ:あべようこ『マンガ ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』河出書房新社 2018