モンテッソーリ教育の醍醐味
藤井聡太二冠も幼い頃受けたというモンテッソーリ教育。今回は園でモンテッソーリ教育を実践する中で、とても嬉しいエピソードがありましたので、皆様にご紹介します。
■手洗い場で手を洗っていたAくん
私がたまたま手洗い場を通りかかったときに、ある男児に「先生、お水出して」と声をかけられました。この男児をここではAくんと呼びます。見るとAくんの両手はクレヨンの色で青く染まっていました。Aくんはその手で水道のレバーに触るのをためらったようです。私が「あとできれいにすればいいから、自分でやってごらん」と言うと、恐る恐るレバーを上げました。Aくんが手を洗っている隣で私が手洗いの順序で手を動かすと、Aくんも真似をして同じように手をこすりました。流すときはせっけんがついた手でも迷うことなく、レバーを上げて水を出しました。流して手を見るとまだクレヨンが付いていました。私が「まだクレヨンがついているね」と言うと、Aくんは再度せっけんをつけ洗い始めました。1回目と同じように丹念に手や指をこすっていました。水で手を流したAくんに、レバーをきれいにするように言うと、Aくんは私が伝えた通りに、その小さい手に水をため、何度もレバーにかけてこすりました。レバーについたクレヨンもせっけんも取れると、Aくんは水を止めました。
■Aくんが言った言葉・・それは「○○○!」
そしてペーパータオルで手を拭き終わると、Aくんは「できた!」ときっぱりと言ったのです。思いがけない一言を聞いて、私は胸が熱くなりました。清香会がモンテッソーリ教育を取り入れている意義を改めて実感した瞬間でした。
■ご家庭でも「できた!」の共有を、ぜひ!
忙しいと待っていられなくて大人が手を出してしまいがちですが、子どもは大人が思う以上にいろいろなことが出来ます。園では「子どもはできないのではなく知らないだけ」という共通理解のもと、やり方を知らせる提示をしています。
時間がないから、つい着せてしまう、はかせてしまう、食べさせてしまう・・思い返せば私の子育て中は「早くして」が口癖でした。保護者の皆様もお忙しい日々をお過ごしのこととお察しいたします。ですが、少しでも“待って見守る”機会を増やせないでしょうか。ぜひ皆様にも子ども達と「できた!」を共有していただきたいと思います。それは皆様にとっても、きっとかけがえのない時間になるはずです!
【本のご紹介】よろしければ読んでみてください!
モンテッソーリ教育の本はたくさんありますが、子どもの姿や大人のかかわりがわかりやすく書かれています。
『ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』相良敦子著 講談社
『マンガ ママ、ひとりでするのを手伝ってね!』原作:相良敦子/作画:あべようこ 河出書房新社