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共通一次→センターから共通テストへ

 令和2年1月18日・19日に最後の「大学入試センター試験」が行われました。

もうすっかり定着している試験ですが、実施されるようになったのは1979年のことです。

国公立大学の独自試験が「高等学校教育の程度や範囲を超えたいわゆる難問・奇問の出題が少なくなかったことから、高等学校教育への好ましくない影響が憂慮される状況にあった。」※1ため、『共通第一次学力試験』が導入されました。

出題は選択式マークシート方式になり1989年まで実施されました。

ですがそれは国公立大の偏差値による序列化につながりました。

「偏差値偏重による受験競争の過熱を是正するとともに、人間を多面的に評価し、個性的な入学者選抜を行い得るよう、国公私立大学を通じる大学入学者選抜制度の改革を提唱」※2するという目的で導入されたのが『大学入試センター試験』です。

こちらは現時点で858校の大学・短期大学が利用しています。(独立行政法人大学入試センター発表)

そして2021年度から「大学入学共通テスト」が導入されます。

文部科学省は「変化の激しい時代において、新たな価値を創造していく力を育成するため」高大接続改革を進めています。その中で「義務教育段階から一貫した理念の下、「学力の3要素」を高校教育で確実に育成し、大学教育で更なる伸長を図るため、それをつなぐ大学入学者選抜においても、多面的・総合的に評価するという一体的な改革を進めていく必要があります。」※3と試験の見直しについて触れています。

「大学入学共通テスト」では

・「思考力」「判断力」「表現力」が今まで以上に求められる

・英語の語彙力や4技能が求められる(リスニングの配点増)

そのため、記述式問題の導入や、使える英語力を高めるため英語民間試験を活用するとされていました。ですが最近になって、採点の問題や民間試験の受験料による経済格差問題などで、どちらも導入見送りが発表されました。

来年の受験生には気の毒な話ですし、今後どうなっていくか不安が残ります。心して動向を見ていき

たいと思います。

今年度から新学習指導要領が2020年小学校→2021年中学校→2022年高校の順に実施されて

いきます。

それに先駆けて新「幼稚園教育要領」と新「保育所保育指針」は2018年から施行されています。

教育について改訂を話し合っている間にも、世の中は刻々と変わっていきます。

今の園児達が大学受験を意識し始める10年後、入試制度はどうなっていて、社会そのものもどう

なっているのでしょうか。

想像がつかないところはありますが、「考える力」「表現する力」「読み取る力」など、今必要とされていることを念頭におきながら、法人理念の「新しい保育の創造」を進めて参ります。

                                        (飯塚)

                                                                            

                     引用:※1・2・3文部科学省HP「学制百二十年史」 

          参考:大学入試センターHP、文部科学省HP「教育」、高校生新聞オンライン