言葉の変換ゲーム
言葉の変換ゲーム
夕方の報道番組「news every .」のメインキャスターでもある、日本テレビの藤井貴彦アナウンサー。毎日さまざまなニュースが報道されている中で、藤井アナの発するコメントが度々話題になっています。
日々増減するコロナの感染者数や、変化する街の様子の映像と共に、藤井アナが視聴者に語りかける言葉が「前向きな気持ちになる」「視聴者を励ますようなコメントに力をもらった」と好評です。
彼自身のコメントを読んでみると、さまざまな立場や考えを持つ人がいることを気遣いながらも、受け取った人が前向きになる言葉が書かれていました。
私は藤井アナの“言葉の選び方”に興味を持ったので、著書『伝える準備』を読みました。
そこには日頃ワードを選ぶ中で意識していることのひとつに、ネガティブをポジティブに言い換える
言葉の「変換ゲーム」を楽しむ、と書かれていました。
特に部下に対してアドバイスをする時に、この変換を意識しているそうです。
例えば、部下の仕事のパフォーマンスが「イマイチ」だった時、その状態を他の言葉で前向きに言い換えてみると⇒「あと少しで合格!」 「いい時と比べると、惜しい」 「もっとやれる人だと思う」
「イマイチだったね…」とそのまま言われるよりも、ポジティブに変換された言葉を掛けられた方が
「もっと頑張ろう」「自分はもっとやれる!」と前向きな気持ちになりますよね。
そして今の自分に必要なことや、すべきことを考えられて、すぐに行動に移せる気がしませんか?
この「言葉の変換」は、私達も保育の中で子ども達に言う時や、日々子ども達の様子を残す記録に
使う文章でも、出来るだけ置き換えるように意識しています。
・「お部屋は走らないよ」→「歩こうね」
・「ちゃんと話を聞かないといけないよ」→「話を聞く時は、話している人の目を見ようね」
・「自分で着替えが出来ない」→「大人と一緒におこなうと、ここまでは出来る」
禁止事項や命令ではなく、やってほしい動作を伝えることで、子どもが理解しやすくなります。
また、一人の人間として尊重しているからこそ、言葉を選んで子ども達と関わっています。
否定的な言葉をたくさん耳にすると、自己肯定感が低くなるため、出来るだけ前向きな言葉を使うよう
心掛けています。
今ではネットが普及し、誰もが意見を言い合ったり、相手に想いを伝えたり、好きなものや興味のある
ことを通して実際に会ったことのない人と気軽に繋がれる時代になりました。
しかしその反面、簡単に書き込めるので「受け取った人がどんな気持ちになるか?」と想像することが
希薄になっているようです。
相手の立場に立って言葉を選ぶ、という一手間を軽んじることで、相手を傷つけてしまうことも増えて
きているのではないでしょうか。
同じ言葉を届けるのであれば、受け取った人がほっこりしたり優しい気持ちになったり、前向きな気持ちになれるメッセージを贈りたいですね。
私も、この園に集う子ども達、保護者の皆様、職員同士、そして家族や友人など…直接顔を見て会話が出来る相手にこそ、大切に選んで贈りたいです。 (真琴)
参考文献
『伝える準備』 著 者:藤井貴彦
出版社:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン