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「マスクに隠された弊害」

「マスクに隠された弊害」

先日も紹介させていただいた息子は現在9ヶ月です。

この時期の発達として「相手の表情を読み取れるようになる」ということが挙げられます。

例えば、「可愛いね」とニコッと微笑まれたり、「◯◯しちゃダメよ」と眉をひそめられると、

その表情から「笑ってる」「怒っている」を読み取り、相手の気持ちを理解するようになっていきます。(こんなに小さい時から社会性が身についているという証拠ですよね!)

最近いたずらするのが得意になってきた息子に「ようちゃんダメだよ〜」とやんわり言っても、

ニヤッとして一向に手を止めません。私の表情が言葉と一致していないがために、化粧道具を引っ張り出して床にガンガン打ち付けるのはいけないことなんだ!とは思ってもいないようです……
 幼い子どもにとって、相手の気持ちを理解したり、自分の気持ちを表現することが出来るようになるには、言葉に伴う表情がとても大切だということが分かります。

しかし、息子は産まれた時からマスクをした大人達に囲まれて育ってきました。

この環境が後々どのような影響を及ぼすのでしょうか。
 最近、コロナ禍で育つ子ども達の発達に関して「表情が少ない」「発語が遅いのでは?」と度々取り上げられているのをご存知ですか?

私達はこれまでの経験の中で見たり聞いたりして得たものを表現しようとします。

では、他人の表情が見えない世界で育った息子達が大人になった時、どうやって自分の気持ちや

感情を表現するのでしょうか。

マスクをつけた大人達に囲まれて育つことで、他人の表情を見るという経験が圧倒的に少なくなっています。(見られたとしても親か祖父母くらいでしょうか?)

周りにはたくさんの大人がいるのに、その人達が怒ったら本当はどんな顔をするのか、喜ぶ時は

どんな顔をするのかを知らないまま育っていきます。

表情のバリエーションが少ないまま、です。 

人は生まれながらにして、人と関わりたいという欲求を満たしながら大きく育っていきます。

その過程で、人には気持ちがあることを知り、それを伝える表情や言葉があることを学び、今度は自分も実践しようとします。

目の前にいる子ども達が大人になった時、「表情が乏しい」「コミュニケーションが取りにくい」という問題を抱えるかもしれません。

そう考えたら今のうちに出来ることはしてあげたいですよね。

その方法の一つとして、バリエーション豊かな表情をたくさん見せていくことだと思います。

もちろん、このような状況の中です。マスクをすることも大切です。

しかし安全対策をすることで、子どもへの弊害もあるということをまずは認識して、今より少しでも長い時間、私達の表情をゆっくり、ハッキリ見せていくようにするのはいかがでしょうか。

園としても、未来を生きる子ども達のために、今出来ることを考えながら保育をしていきます。

一人ひとりがより健やかな成長発達を遂げるために。

みんなで一緒に取り組んでいきましょう!

                                        (尾池)