絵本に隠れた魔法のチカラ
小さい子どもと過ごしていると、絵本を手にする機会は比較的多いですよね。
音が鳴るものから写真やイラストが載っているもの。文字のないものもあれば、切り絵や版画を用いているもの、
歴史を伝えるものまで。以下の絵本、いくつご存じでしょうか?
我が家では絵本が好きな息子のために、絵本の定期購入をしていたことがありました。
自宅に届いた絵本と一緒に同封されているチラシに、こんな一文がありました。
「絵本は大人が子どもに読んであげるものです」…そりゃそうだ、と思いますよね!
その上に「幼い子どもは字が読めないので大人が代わりに読んであげる、ということではない」とも書いてありました。
同じ「読んであげる」でも前者の方は相手に届ける、読んであげたい!という気持ちが強いように感じます。
しかし当時の私は「息子はまだ小さいから代わりに読んであげよう」と感じていたので、むしろ後者の考えの方が
大きかったかもしれません。
子どもは聞くことによって言葉を獲得します。
特に乳幼児期は口元の動かし方や声の出し方を見て学び、周りの環境である大人やお友達からの言葉のシャワーを浴びて
少しずつ真似ていきます。
日頃のコミュニケーションの中では、子どもに伝わりにくい言葉であれば、単語を簡単に言い換えるなど、
自然と工夫をしています。
では、絵本の中ではどうでしょう。
絵本には昔の言葉や方言が出てくることもあり、子どもにとって聞き馴染みのない言葉が使われていたり、
大人にとっても言い回しが難しいと感じることがあります。
そんな時、皆さんはどうしていますか?
…実は私がまだ保育士1年目の時、絵本の中に「芽キャベツ」という言葉が出てきました。
私は勝手に心の中で「キャベツは知っているけど、芽キャベツは知らないだろう。あんまり見ることもないし」と
判断して「キャベツ」と表現して読み聞かせをしました。
子ども達は何の違和感も持っていなかったようですが、自分の中では引っかかるものがあったんです。
何回か読むうちに、「みんなは芽キャベツって知ってる?」と投げかけることにしました。
そこから芽キャベツを知ったり、芽キャベツを見つけたことを嬉しそうに教えてくれる子が出てきました。
それで「私が知っている言葉(単語)は数ある言葉の中の極々一部であって、絵本は私が教えられない
多くの言葉を子どもに教えてくれるものでもあるんだ!」と思いました。
それ以降、昔話・方言でも、その絵本に記されている通りに、読むことを心掛けてきました。
実体験の浅い乳幼児期に、絵本から美しい日本語と日本語が持つ音の響きや様々な絵に出会うことは、
語彙力と想像力を身につけるためにとっても大切です。
さて、今年度から絵本のレンタルコーナーが始まりました!
今回のコラムは「絵本の言葉」にスポットを当てましたが、絵本は「絵」を見せるものですから、
絵の色彩や表現方法などの魅力にもぜひ気づいてほしいと思っています。
子ども達には絵本を通して「本物」を体験してもらい、自分にとって大切な、お気に入りの一冊に出会って
ほしいと願っています。
(尾池)