選ぶ力は考える力
私達は毎日、自分で選ぶ「自己選択」と自分の意思で決定する「自己決定」を繰り返しています。
その回数はなんと!1日に35000回とも言われています。
日々の積み重ねは、順序だてる力(論理的思考の構築)や工夫する力(問題解決能力)につながっています。
例えばこんなシーンを考える時…
・今日はプールがあるから脱ぎやすい服にしようかな?
・この格好だったら雨にぬれても大丈夫かな?
・ピクニックに行くから歩きやすい服装にしよう!このとき、きっと頭の中でイメージをして、より自分にとって良い選択になるものを考えています。
こうした繰り返しによってさらに思考が細かく深くなり、「この服は雨に濡れると肌にくっつくから
次回からやめておこう」「ピクニックの時には前日の天気も確認しておいた方がいいな」と、
起きたことの結果を受け入れて次に活かそうと改善し、自分の基準を作っていきます。
「選ぶ力」は「考える力」に直結し、大切な経験となります。
私達職員が普段乳幼児期の子ども達にどんなことを意識して選ぶことを知らせているのか?
実際に園で取り入れている声掛けの中から2つご紹介します。
★【選択肢は2つ】
「AとBとCとDから選んでね」と、初めからたくさんの選択肢がある、と言われてしまうと、
子どもは言われていることが分からなくなったり、決めることが出来なくなってしまいます。
「バナナとリンゴどっち食べる?」「今日はどっちの靴履こうか?」など2つに絞ると、
選択しやすくなりますよ。
たった2つしか選択肢がなくても「自分で決めた」ということが嬉しいですし、満足感があります。
★【やることを前提に選択肢を作る】
どういうことかというと、着替えをする時に「着るか着ないか」の2つの選択肢ではなく、
「どうやって着替えるか、どっちに着替えるか」の選択肢を設けます。「お母さんが着替えるのを手伝う?
自分で着る?」もしくは「赤いシャツにする?青いシャツにする?」などです。
このほか、私達の法人ではランチのビュッフェスタイルや『選択制保育』等を取り入れています。
子どもにとって、「自分で決める」ことはすごく嬉しいことです。
食事の時間だけを切り取っても、自分でよそうことが出来た、というだけで苦手な食材に
チャレンジしようとしたり、食べ切ろうとする姿が見受けられるようになります。
幼い頃から自己選択や自己決定の機会を意識的に持つことで、自分自身を知ったり、「できた!」
という達成感を得ることにつながります。
こうした経験を積み重ねていくことが、今の自分を認められる「自己肯定感」を培う基礎になるはずです。
「バナナとリンゴどっちにする?」のようなとっても簡単な投げかけが、子どもの将来を大きく
変えるかもしれません。
大人からの一方的な「〇〇しなさい!」は、ほどほどに、選ぶ力・考える力を育みたいものです。
(尾池)