「伝える」と「伝わる」の違い
「伝える」と「伝わる」の違い
9月になり、猛暑もようやく過ぎたのか少しずつ涼しくなってきて、秋の訪れを感じられる季節となってきました。秋と言えば、『食欲の秋』『読書の秋』『スポーツの秋』などいろいろありますが、今回は読書について触れてみたいと思います。
私事ですが、昨年から『一ヶ月に1冊本を読む』ことを心掛けています。と言っても、十思保育園に異動してから電車の通勤時間が四分の一になったため、最近はノルマ未達成な月もありますが…(笑)
いろいろな本を読んでいる中で、今回は特に印象に残った『伝え方』について書きたいと思います。
『伝え方が9割』という本をご存知でしょうか?115万部のベストセラーを記録した本です。内容としてはまさしくタイトルの通り、「同じ内容でも伝え方次第で結果は変わるよ」というものです。
・「トイレはきれいに使ってください」→「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます」
・「徐行してください」→「この付近は美人が多いです。是非徐行してみてください」
・「芝生に入るな!」→「芝生に入ると衣服に農薬が付きます」
・「デートしてください」→「驚くほど美味いパスタの店があるのだけれど、いかない?」
どれも左右で同じことを言っていますが、書き方次第で印象がだいぶ違いますよね。左の文章は「お願いする側の主張」だけとなっていますが、右の文章は「お願いされる側が関心を持てる文章」となっています。つまり、何かを相手に伝える時は、「相手に意図まで伝わる内容」で初めて伝わるということです。
また、以前研修で「伝える」と「伝わる」の違いを学びました。「伝える」は伝えた側の一方的な主観、相手が理解して初めて「伝わる」となるとのことです。
これは、子どもへの伝え方も同じです。例えば子どもが廊下を走った時に、「ダメだよ」「やめてね」と言っても、時間が経つとまた走り出してしまいます。それは子どもの中で、「走る=ダメ」というだけで、肝心のなぜしてはいけないかの意図が伝わっていないからです。「転んだらけがをしてしまうから走らないでね」「友だちにぶつかったら危ないから歩こうね」と、何故してはいけないのか明確な理由を伝えてあげることで初めて伝わります。
また、子どもがお手伝いで部屋の掃除をしてくれた時も、ただ「ありがとう」と言うだけでなく、「部屋がきれいになったから気持ちが良くなったね、掃除をしてくれてありがとう」と伝えることで、子どもは『褒められるため』にお手伝いをするのではなく、『きれいにするため』という目的を持ってお手伝いをしてくれるようになります。
忙しい時や咄嗟の時など、ついつい簡略化して言葉を伝えてしまいがちですが、そこはひと手間を惜しまずにしっかりと『伝わる』ように心掛けていきたいと思います。
参考文献『伝え方が9割』
著 者:佐々木 圭一
出版社:ダイヤモンド社
(中野祐貴)